McQueen クリエイティブコラボレーター:Tom Scutt
コンセプチュアル プロダクション デザイナー、Tom Scuttによる2026年春夏コレクションショーのセットデザインをご覧ください。
抽象化された伝承と儀式を表現したMcQueen 2026年春夏コレクションショーのセットは、コレクションの中心で息づくありのままの熱狂的なエネルギーを凝縮しています。
2025年春夏コレクションショー以来McQueenの重要なコラボレーターであり、イギリスのトニー賞受賞アーティストであるTom Scuttがデザインしたこのインスタレーションは、8000mにおよぶヘシアンのリボンと自然の葉、そしてコルクを使い、持続可能性を念頭に作られた要塞のようなメイポールの構造を中心にしています。
『The Wicker Man』(1973年)のインスピレーションを含め、今シーズンの物語にどのようにアプローチしましたか?
保守的でとても穏やか、またとても温かい世界でありながら、どこか暗く不吉なものが立ち上っているように感じられるこの世界を非常に好意的にとらえていました。
そこから自然の力、そして人間を突き動かす自然のエネルギーについてのアイデアが導き出されました。
メイポールのアイデアはすぐに浮かびました。お祭りのような、奇妙な民俗的伝統が今シーズンの強力なアンカーポイントになるような気がしました。その周りをモデルが歩いていくのです。 そこで、メイポールの形状が空間における主要な構成要素となりました。
演劇や音楽に携わる者として、広くあなたの仕事に影響を与えているのは何ですか?
常に何らかのきっかけから始まります。それは映画かもしれないし、感性かもしれない。または午前3時にソーホーを歩く感覚かもしれないし、本かもしれない。 Seán(McGirr)と私は互いにたくさんの音楽を送り合っていますが、それは私にとってすべての作品への足がかりとなるからです。多くの場合そこからスタートし、最初から最後まで世界を構築していくことになります。問題なのは、作品のテーマを通して、チーム全員がすべてを把握できるようにするにはどうすればいいかということです。音楽、照明、舞台、ウェアなど、さまざまな表現手段の境界を越えることが重要です。
このようなセットを制作し、設置するプロセスはどのようなものですか?
こうした作品を設置するプロセスは、いつになっても慣れることがなく、神経をすり減らすものです。なぜなら、信じがたいことがたくさんあるからです。私たちはここにいて、日中の光の中でセットが組み立てられている。けれど目の前の光景をほとんど無視せざるを得ない。そのままでは完成しないことを分かっているからです。最後の最後まで全貌を見ることはできません。
たくさんの視覚的な表現を作成し、アニメーションを使うこともあります。この作品では25分の1の縮尺模型を作りました。これは、普段は演劇でしかやらないようなことですが、このショーの照明を考える上で制作することが重要だと感じました。
実際の空間において、私の重要なコラボレーターは照明部門です。過去2回のMcQueenのショーでは、照明と視覚効果が演出の鍵を握っていました。その後、照明をはじめ、喚起される周囲の世界がウェアと調和しているかどうかを確認するために、音楽に合わせて実に入念なリハーサルが行われます。
セットをショー体験に昇華させるために不可欠な要素とは?
このショーでは、伝統的で民族色の強い世界からクラブやレイヴカルチャーへと展開するために、たくさんの照明とたくさんのスモークを使いました。
私たちが伝えたかったのは、温かみがあり魅力的なものと、儀式的で陰鬱なものを隠し持つ村祭りのようなものとの間にある緊張感です。
また、このショーではACT1.5とも協力し、作品にまつわる持続可能性についても本当に強い意識を持っていました。何メートルにもおよぶヘシアンのリボンと、美しい自然の収穫に見立てたメイポールの装飾は、そうした意識の中で採用されました。






